現在ツアー中のSpringintgut & F.S. Blummが初の共作「The Bird And White Noise」をリリース!

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

現在、京都のnight cruising主催でジャパンツアー中のSpringintgut & F.S. Blumm。このツアーに合わせ、2人のコラボ作「The Bird And White Noise」が、リリースされています。

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Springintgutは、ハンブルグ出身のAndi Ottoによるソロプロジェクトで、City Centre Offices(現在はリリース止めたのかな?)から2007年にリリースしたセカンド作「Park And Ride」を聴いたのが最初だったでしょうか?Mouse On MarsやTo Rococo Rotを思わせる、ミニマルなクリックハウス~アブストラクト・エレクトロニカ作でしたが、当時は正直あまりピンと来ず、それほど熱心に聴いていませんでした…ごめんなさい。

で、ある時、Springintgutが主宰するレーベル、PingipungからSven Kacirekというハンブルグのパーカッショニスト・コンポーザーの作品を聴くことになります。このひと、ドラム、パーカッション、マリンバなどを使ったジャジーでアフリカンなビートは、これまでありそうでなかった面白さで、ぜひ聴いて頂きたいのですが、後で紹介するSpringintgutの作品にも少なからず影響を与えているんじゃないか思うくらい似たリズムトラックを聴くことができるんですね~。実際、Sven Kacirekの最新作「Scarlet Pitch Dreams 」(2012年)のリミックス作「Scarlet Remix EP 」(2012年)には、Springintgut & F.S. Blumm両氏が参加しております。

Pingipungは、他にも、WolsとかROMなど出していて、かなり自分の中で、Pingipungってかなり気になるレーベルかも?と個人的に盛り上がってきた中で、Springintgutは、2013年に約6年ぶりとなる作品「Where We Need No Map」をリリースします。これが本当に良かった!京都のゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川に3カ月滞在した間に日本で制作されたトラック含む、世界各国で録音された素材を用い、クラウトロック~エレクトロニカ~クラシカルなどなどいろんな要素が見事なまでに折り合い成熟された楽曲を聴かせてくれています。電子音楽に興味を持つ前に、チェロやドラムを学んでいたということで、チェロ演奏者としての一面もあります。ここで、今や彼の代名詞となっている、センサーとチェロを組み合わせた独自の演奏システム「Fello」をフューチャーし、クラシカルと、電子音楽~クラブミュージックユーモアさ、躍動感を洗練された形で表現し、Springintgutならではの個性を確立しています。この作品で感じたのは、前述のSven Kacirekの作品と似た、土着的なリズムを持った、パーカッシヴでクラシカルなリズムのトラックが時折散見されるということ。もちろんSpringintgutはそこからクラブミュージック寄りのアプローチで聴かせてくれます。

で、そこからあまり期間を置かずに、今回もう一人の主役である、F.S. Blummの最新作「Up Up And Astray」がリリースされます。F.S. Blummは、ベルリンを拠点に活動する音楽家で、これまで、Tomlab, Morr-music, Staubgold, Audio Dregsなどから作品を数多くリリースしているんですが、「Up Up And Astray」は実に7年ぶりとなる作品なんですね。ソロとしての実績はもちろんのこと、It’s A MusicalのEllinor Blixt(Bobby Baby)とのデュオBobby & Blummを始め、Kinn、Old Splendifolia、Quasi Dub Development、Rebresch & Blumm 、Sack & Blumm 、Taunusなどの様々なグループに参加したり、コラボ作となると、ドイツのレーベルSonic Piecesから、Nils Frahmとのコラボ作を2作リリースしたり、David Grubbsや、ニューヨークのトランペッターLuca Faddaなどなど、紹介したらきりがないくらい。日本でも多くのファンを持つアーティストの一人です。

彼の魅力は、ひとたびつま弾けば、すぐにF.S. Blummとわかる、フォーキーでリラックスしたムードを醸し出す乾いたギター。そして身の回りにあるもので音を鳴らしそれを用いたり(有名なところではピンポン玉を床に落として跳ね返りの音をサウンドに用いたり…)遊び心あるユーモアさだったりするんですが、実験的なことをしている割に、聴こえてくるサウンドは実にハートウォーミングなんですよね。彼のソロ作品はどれも楽器のアンサンブルが有機的に混じり合い、じんわりと染み入る奏でられるメロディーはいつも優美でつつしみ深いものばかり。

そんな彼の最新作がPingipungからリリースされるということもうれしい驚きだったのですが、いくつかのトラックで、これまでにない土着的なリズムを下敷きにしたような、パーカッシヴなリズムのトラックを聴くことができるんですよね。Sven Kacirekもマリンバで参加してますし。でも作品自体はこれまでのF.S. Blummの作品が好きな人には、これこれ!というムードを持った彼のメロディーが随所に聴かれます、Bobby Baby、Harald “Sack” Ziegler、Luca Faddaなどの馴染みの面々の参加もうれしいところ。

そんなサウンド面も含めいくつか共通した部分も感じつつ、2人の来日、そしてコラボ作「The Bird And White Noise」と来たわけなんですが、お互い充実した作品をリリースしているとあって、この「The Bird And White Noise」も両者のファンも満足の仕上がりとなっています。

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全体的には、F.S. Blummベースのアコーステックな質感の曲が多いかなと思うんですが(「Summer Kling 」の”Land Ab”の再録があったり)、もちろんSpringintgutらしいデジタル・ビートとチェロの演奏が上手く折衷されていて、実験的な試みながらも、この作品でしか聴くことのできない優雅さと浮遊感あるシネマティックなサウンドは見事というほかないでしょう。もちろん大推薦な1枚です!

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■ アーティスト:Springintgut & F.S. Blumm
■ タイトル:The Bird And White Noise
■ フォーマット:CD
■ レーベル:night cruising
■ 品番:NCD-04
■ ジャンル:エレクトロニカ/アコーステック
■ リリース年:2014年

<収録曲>
01. Krause Glucke
02. Steinsäule
03. In Zügen
04. Anders Malmö
05. Eskimono
06. Land Ab Neu
07. Kieler Aufgang
08. Federn Kegeln
09. Kopffüßler
10. Stockwüste
11.Kammerwüste
12.Komposten
13.Feinling
14.Zeitgeschwindigkeit
15.Schleifling
16.Chitin
17.Leben Läuft (Cello Version)

Springintgut & F.S. Blumm 「The Bird And White Noise」 はPASTEL RECORDSでご購入頂けます!

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現在2人は来日ツアーまっただ中!5月5日までツアーは続きます!浜松~京都~名古屋~東京~神戸と続きますので、お近くの方はぜひ足をお運びください!

イベント情報

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Springintgut & F.S. Blumm Japan Tour 2014

4/29(火) 浜松公演 Concert Set
at.鴨江アートセンター301
http://kamoeartcenter.org/
共演: steteko
17:00open / 17:30start
予約 2500円 / 当日 3000円

5/1(木) 京都公演 -2 Acoustic Set
at.恵文社一乗寺店 COTTAGE
http://www.cottage-keibunsha.com
18:00open / 18:30start
料金: 2800yen (食堂souffleによるスコーン&ドリンク付)

5/3(土) 名古屋公演 Concert Set
at.K.D ハポン
http://www2.odn.ne.jp/kdjapon/
共演: asana(solo set) / グッピー研究生
DJ: I-NiO(club solanin)
18:00open / 18:30start
前売り 2500yen / 当日 3000yen ※ドリンク別

5/4(日) 東京公演 -2 Club Set
at.落合soup
http://ochiaisoup.tumblr.com
共演: MimiCof × Yousuke Fuyama(visual) / miaou
18:00open / 18:30start
前売り 2500yen / 当日 3000yen

5/5(月) 神戸公演 Concert Set
at.space eauuu
http://www.musika-nt.com/spaceeauuu/
共演: Marihiko Hara & Polar M
DJ: RAJIN / Tatsuya Shimada(night cruising)
PA: 鶴林万平 (sonihouse)
18:00 open/start
前売り 2500yen(1ドリンク付) / 当日 3000yen(1ドリンク付)

※各公演の予約お問い合わせは、night cruisingのツアー情報をご覧ください。

 

2014年04月29日 | Posted in NEWS, 音楽レビュー | タグ: , , Comments Closed 

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