美しいインスピレーションに導かれた、Alela DianeとRyan Francesconiによる共演作 「Cold Moon」
過去に、Headless Heroes(日本でもPLANCHAから彼ら唯一の作品「The Silence Of Love」がリリースされています。)のメンバーとして参加し、その歌唱が、ラフ・トレードのオーナー、ジャフ・トラヴィスをして「サンディ・デニーやカレン・ダルトンにもひけをとらないシンガー」と絶賛され、ラフ・トレードからも2枚のソロ作をリリースしている、女性シンガーソングライター、Alela Diane(アリーラ・ダイアン)。そして、エレクトロニカの名義RFや女性シンガー、リリ・デ・ラ・モーラとのコラボ作、そしてJoanna Newsomeのサポート、そしてアコースティック・ギターとブルガリアン・タンブーラによる、弦楽器の名手として日本の、Sweet Dreams Pressから2枚、そしてBella Unionから1枚リリースしている、Ryan Francesconi(ライアン・フランチェスコーニ)によるコラボレーション作がリリースされました。
Alela Dianeは、本当に質の高い優れた女性シンガーなんですが、過去のソロ作品は、どこか楽曲的にも、もう一つぐぐっと来るものがなくて(あくまで個人的な意見ですので悪いというわけではございません)、割とコンスタントにリリースをしているのですが、正直そこまで熱心に追いかけるという感じではなかったのですが、個人的に大好きな、Ryan Francesconiとのコラボ作ということで、ジャケットの微妙さも少し不安材料だったのですが、これが聴けば聴くほど味わい深い作品でひとまずホッ。ライアン・フランチェスコーニの相変わらずのため息ものの流麗なギターと、Headless Heroesの頃よりも、ぐっと大らかで温かい根源的なものに触れ得た感情を、優雅に表現しているアリーラ・ダイアンの歌唱との相性が、素晴らしく良い。お互いポートランド在住での繋がりで共演に発展したのだと思うけど、ポートランドの自然と人との寛容さみたいなものに心触れることのできる作品とも言えます。
この作品自体は、ライアン・フランチェスコーニが作ったアコースティクギターをベースとし、アリーラ・ダイアンが歌を付けて行くという流れで制作されたもので、ブルガリアン・フォークを含めクラシックや、トラッドな要素を汲んだ、ライアン・フランチェスコーニならではの演奏もさすがなんですが、これにあわせて独自のメロディーを歌い上げ歌ごころある楽曲に仕立てるアリーラ・ダイアンも、凄いなぁと思うわけで、両者のインスピレーションが等しく交わりあった絶品の美しさは、ぜひ両者のファンにチェックしていただきたいです。ゲストには、LadytronのDaniel Huntや、Peter Broderick(共にパーカッション) 、そしてライアン・フランチェスコーニとも共作アルバム「Road To Palios」をリリースしている、Mirabai Peart(ヴァイオリン)が参加しています。