星形の庭「breath and breadth」(PNdB-atelier )
聴き手側の何かに繋がってゆき、そして空想の深さに溶け込んでゆく
何かに明かりを灯すように、マッチを擦る音で作品はスタートする…。津田貴司(electric guitar)と林香織(accordion)によるギターとアコーディオンのデュオ、「星形の庭」による作品「Breath and Breadth」。2人は、2010年頃より様々な形態での共演を経て、2016年末に「星形の庭」として本格的な活動をスタートさせる。”調和と拒絶、持続と切断、抑制と飛躍など相反する極を往還しながら音楽以前を志向する”(インフォより)ユニット。
津田さんの生み出すサウンドは、いつも主となる音の背景にある気配が好きだし、今回は、林さんの揺れるアコーディオンの波が夢を誘う。彼らの音の残響からは、ありふれた記憶が浮かび上がり、潤色のないエレキギターと、アコーディオン、フィールドレコーディングが重なりあうとき、インプロヴィゼーションというのは、実験や前衛という言葉とはまた違うものなのかな、と思ってしまう。
メロディアスに没した数々の音楽とは一線を画した「星形の庭」の美しさ、ぬくもりに似た感覚は、様々な相反する矛盾を大切にしているからこそ、聴き手側の何かに繋がってゆき、そして空想の深さに溶け込んでゆく。ラスト”portfolio”のもつ、人の想像力をそそる、重厚なアンビエンスに身を委ねていると、いつしかまわりは静寂となっている。その静寂も、また彼らの音楽と地続きとなってるようで、いつまでもその余韻に浸ってしまうのです。
アルゼンチンの音響詩人、Federico Durandとhofliとのコラボレーション作品「Niebla y jardines tomados por las plantas」のアートワークを手掛け、フェデリコ&hofliとの関西ツアーでは、ライブペイントでの共演を披露してくれた、fuuyamnが、またもや目を奪われてしまうため息ものの繊細なドローイングと活版印刷のを披露。音楽とともに、手に取る価値のある作品を創り上げています。
Federico Durand & hofli「Niebla y jardines tomados por las plantas」〜一度聴いただけでは本当の魅力が味わえないくらい、人の想像力をそそる音響空間が広がる
Federico Durand & hofli「Niebla y jardines tomados por las plantas」(spekk)
マスタリング:庄司広光
アートワーク:fuuyanm
ライナーノート:西脇一弘
1. grand guignol
2. cyan moment
3. winter bird, storm glass
4. snowflakes on the wind
5. breath and breadth
6. moonlight collection
7. kite
8. rain tree waltz
9. a friend in kaohsiung
10. portfolio