Cicada「Ocean」〜プレイボタンを押すと、豊かな海に感謝の気持ちを捧げるメロディーが聴こえる
東京のflauより、台湾を代表する室内楽アンサンブル、Cicadaの作品「Ocean」がリリースされました。「Ocean」は、Cicadaがこれまでリリースしてきた、2013年にリリース「邊境消逝 Coastland」と、2015年にリリースされた「仰望海平面 Light Shining Through the Sea」の2作品から選曲された楽曲(Coastlandにボーナストラックとして収録のデビューEPから”Over the Sea/Under the Water”も入ってます)に、リミックスとリマスタリングが施され、再構成された作品となっています。
Cicadaは、2009年の秋、作曲とピアノを担当する江致潔(Jesy Chiang)を中心に、ヴァイオリン、チェロ、アコーステックギターの5名によって結成された室内楽アンサンブル。2010年に、6曲入ミニアルバム「Over the Sea/Under the Water」でデビュー。翌2011年にファーストアルバム「散落的時光 Pieces」が台湾で大ヒットを記録します。これまで、ミニアルバムを含め5作品をリリースしていますが、いずれもクオリティーが高く、これまで、しっかりと日本で紹介されていなかったのが不思議なくらいです。
台湾の西海岸と東海岸、両方の沿岸地帯の環境問題が出発点となり、作られた「Coastland」と「Light Shining Through the Sea」。経済成長と引き換えに、必ず引き起こされる、豊かな自然の破壊。人々の豊かさとともに、急速に失われていくという皮肉な現実は、日本だけでなく世界的な問題ではあるのですが、これら2作品を集約した「Ocean」では、Cicadaの面々がこれまで経験してきた、台湾の豊かな自然の持つ美しさと、変化する人の価値観が生み出す矛盾点を、彼らなりの手法で、繊細に描き上げている。
環境への思想が彼らの奏でるアンサンブルに色濃く影響を与えているとはいえ、ここで聴かれる演奏は、実に瑞々しく、エレガントなシンプルさとともに伝わる美しい旋律と、5人によるアンサンブルが生み出す複雑な感情を表した見事な演奏が展開されている。
プレイボタンを押すと、瑞々しいピアノの音色が聴こえてくる…。ヴァイオリンのピッツィカートは水鳥のささやきのように、チェロやギターは、全てのおおらかに包み込む大海原のように、それはまるで豊かな海に感謝の気持ちを捧げたかのようにも聴こえてきます。
彼らの作品は「 Pieces」など素敵な作品があって、近いうちに、来日公演や、初期作をまとめたコンピレーション作をリリースとのことです。
■Track List
01 Flapping Wings
02 Over Coastal Range
03 Deep Blue Shadow
04 Ocean Foam
05 Over the Sea/Under the Water
06 Close to Wetland
07 Withered Reflection
08 Blooms in Dark
09 into the Ocean
10 The Seashore of Endless Worlds
11 Rolling Waves
12 Diving into Pacific Ocean
13 Light Shining Through the Sea