Goldmund「Corduroy Road」[LP](Unseen)
Keith Kenniffのソロプロジェクト、Goldmundの記念すべきデビュー・アルバム(2005年 Type)が、初めてヴァイナルでリイシューされました。彼の作品は、音楽だけでなくアートワークも音楽の世界観と相まって、美しいものが多く、近年の作品リリースでは、レコードが即完売になるなど、当店にも過去の作品のレコードを求める声も多く聞かされていたので、このファーストのヴァイナルリイシューは嬉しい限り。
「Corduroy Road」は、英国のType Recordingsから2005年にリリースされたもので、時期的にも、”ポストクラシカル”シーンの先駆けともいえるGoldmundの代表作。彼のもう一つのメインプロジェクト、Helios名義の作品とは違い、Goldmundでは、全く飾りっ気なしのピアノ作品で、シンプル/ミニマルでありながらも極めて安らかで、美しい旋律を聴かせてくれます。
レコーディングには、両親が所有していた古いアップライトピアノを使用。収録曲のほとんどが、一つ一つ丁寧に、繊細に紡がれるピアノで構成されていて、そのピアノの余韻とともに、ペダルを踏む足の音、鍵盤に愛情を込めて押し付ける指の音などが収録されていて、より親密さが伝わってくる。
今更ながら、改めてこの作品を聴くと、他の作品とはまたちょっと違って、どこか日本人も懐かしいと感じる旋律が作品の至る所に散りばめられていて、それがとても印象的なのですが、現在の、Keith Kenniffの奥さんである、Hollis Brown Thorntonによるジャケットのアートワークも、作品の世界観を見事に表している。
「Corduroy Road」の背景には、彼が研究している、南北戦争(1861~1865)時代のフォーク音楽があります。実際、’Marching Through Georgia’を演奏していたり、この後、2011年にリリースされる作品「All Will Prosper」では、南北戦争時代の楽曲をカバーしたり。南北戦争時代には、戦に赴く息子や恋人、あるいは故郷で帰りを待ちわびる人々の思いを歌った曲が多く歌われている。
喪失、歴史、友情、仲間、赦し、希望といったテーマが、この作品にはあるのですが、Goldmundの音楽そのもの、もしくは、Keith Kenniffの生み出す旋律の根底には、南北戦争時代の音楽の影響が深いのかもしれません。不思議な郷愁を生み出してゆく、何とも言えない優しい気持ちにさせられる作品です。
これまで、CDに収録されていた、”The One Acre”、”Yamase”は、レコードでは未収録となっています。おそらくレコード片面の推奨される収録時間の都合上、カットされたのかも。ダウンロードクーポン付き。
01. Ba
02. Door Of Our Home
03. Marching Through Georgia
04. Downward To Darkness On Extended Wings
05. My Neighborhood
06. 25 Thousand Miles
07. Methusela Tree
08. Larrows Of The Field
09. Provenance
10. Parhelia
11. Anomolie Loop(1960-1969)