アメリカ人アーティスト、Keith Kenniffの、Helios名義での作品が久しぶりにフィジカルでリリースされる。2012年リリースの前作「Moiety」は、自身のレーベル、Unseen Musicから当初はフリーでのリリースで、なおかつノンビートのアンビエントな内容だったこともあって、個人的にはどうもオリジナル作としてはぼやけた感じの印象でしかなかったのですが、この最新作「Yume」はまぎれもなく、Typeからリリースされたフィジカルな作品としての前作「Caesura」(2008年作)に続く作品と言え、文句無しのHelios名義にふさわしい、なおかつ最高峰な内容と言えるでしょう。
かつては、MerckでレーベルメイトだったTychoとどこか共通する、アトモスフェリックな美しいメロディーに、スロー〜ミッドテンポのビート。名作「Eingya」の世界観をもう少し開放感あるものにした感じを受けたんですが、なんにせよ、もうこれぞHelios、というツボなパターンがこれでもかと織り込まれてます。
シンセによって生み出されるストリングスが幻想的なムードと、エレガントにきらめくピアノやアコーステックギターが切ない旋律を折重ね、そこにゆったりとしたダウンビートが心地よさと、高揚感を刻んでゆく。
この完成度は、ファーストやセカンドにはない感覚で、ポストクラシカルなGoldmundや、Keith Kenniffの奥さんHollie Kenniffによるユニット Mint Julepでのシューゲイザーな側面を含め、これまでのキャリアの積み重ねが、この「Yume」にフィードバックされ、Heliosサウンドとして見事に昇華されているからこその内容だと思う。これまでのHeliosファンはもちろん、エレクトロニカ~アンビエント~ポストロック好きの、新たなファンを獲得しそうな充実作です。まさに「夢」のように儚く美しい音のタペストリー!9月6日発売で、STOREでも販売します!日本盤のみボーナストラック1曲収録。
Helios(ヘリオス)/Yume(ユメ)
1. Every Passing Hour
2. It Was Warmer Then
3. Sonora Lac
4. Pearls
5. Yume
6. Skies Minus
7. The Root
8. Again
9. Sing the Same Song Twice
10. Embrace
11. You The Rose (ボーナストラック)