繊細さとダイナミックな演奏が安心して聴ける正統派ピアノ作品
ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォに生まれ、12歳で英国に移住してクラシック・ピアノ奏者としてのキャリアを築いたIvana Gavric。
BBC Music Magazine Awards 2011 の新人賞を受賞したり、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・ストックホルム・フィル、トロンハイム・ソリスト、オーロラ管弦楽団、サウスデンマークフィルと共演、 Rafael Payare、Nicholas Collon、Christian Kluxen、Ben Gernonなどの指揮者とコラボレーションしています…というところは、クラシック畑ではない私にとっては、あまりピンとこないけど、彼女の他にリリースされた作品を聴くと、確かにテクニックは申し分なく、繊細さとダイナミックな演奏が安心して聴ける正統派なピアニストです。
そんな彼女が、英Edition Recordsのクラシック部門であるEdition Classicから発表したのが、ショパンの「マズルカ」集。ポーランドの各地の民族に伝わる舞曲に基づいて作曲された一連の「マズルカ」作品群を、繊細なタッチと豊かな余韻で美しく解釈している。
ショパンのマズルカはネイティブな民謡に近いものから、非常に洗練された作品まで多岐わたるもの。ショパンの作品には大作が多いですが、このマズルカは、ショパンの「心の日記」とも言われるくらい、演奏時間は長くても5~6分程度で、楽譜にして数ページ以内の小品でありつづけました。大作にはない、日常に近かったと推測される作品それぞれには、ショパンのストレートな心情表現が織り込まれており、それが弾き手のピアニストによって様々な解釈があります。Ivana Gavricのピアノは、前述の通り、正攻法なうまさを持った人で、全体としてすっきりしたサウンドながらも、歌の美しさが際立つ演奏となっており、ソフィストケイトされた演奏解釈は、クラシックをしっかりと聴き込んでいる耳の肥えた方にとって、この作品は評価されない類かもしれない。でもその反面、楽曲のもつ感情の起伏が、ちょうどIvana Gavricの正統派な個性といい感じでバランスが取れていて、これはこれで、個人的には聴き心地の良い素敵な作品だなと思う。クラシックに馴染みのない方にも、彼女のピアノにより親しんでいただける内容になっています。
01. Mazurka Op. 6, No. 2
02. Mazurka Op. 7, No. 1
03. Mazurka Op. 7, No. 3
04. Prelude KK IVb No. 7
05. Mazurka Op. 24, No. 1
06. Mazurka Op. 24, No. 2
07. Mazurka Op. 24, No. 3
08. Mazurka Op. 24, No. 4
09. Prelude Op. 45
10. Mazurka Op. 30, No. 1
11. Mazurka Op. 30, No. 2
12. Mazurka Op. 30, No. 3
13. Mazurka Op. 30, No. 4
14. Berceuse
15. Mazurka Op. 17, No. 1
16. Mazurka Op. 17, No. 2
17. Mazurka Op. 17, No. 3
18. Mazurka Op. 17, No. 4
19. Nocturne Op. 15, No. 2
20. Mazurka Op. 33, No. 1
21. Mazurka Op. 33, No. 2
22. Mazurka Op. 33, No. 3
23. Mazurka Op. 33, No. 4