Jose Gonzalez – Local Valley 〜「明治の森 箕面 音羽山荘」月一レコードセレクト(2022年1月)
2021年から始まった、箕面にある、『”音羽山荘”さんで聴きたいレコード』企画。2022年も引き続き、箕面の月ごとの移ろいとともに相応しい1枚をセレクトしてまいります。早速、2022年1月は「Jose Gonzalez / Local Valley」を選んでみました。(これまでのセレクトはこちら)
■ 明治の森箕面 音羽山荘
箕面大滝を訪れた方なら必ず目にしている明治の森箕面国定公園の入り口すぐ、箕面の景観の中に佇む、風情溢れる老舗旅館。【1日1組限定】自然豊かな森に佇む建物は大正時代に建てられた歴史ある邸宅を改築したもの。食事の美味しさはもちろん、丁寧な接客も含め、本当に贅沢な時間が流れています。
2022年1月のセレクト
■ タイトル:Local Valley
■ レーベル:City Slang
■ リリース年:2021年
独特の語感と語り口、全く派手さがないのに、ほろ苦さと柔らかさを含んだ不思議な歌声。2022年1月は慎ましやかに、そして奇妙で困難な日常をささやかに癒やしてくれるホセ・ゴンザレスの『Local Valley』でスタートです!
アルゼンチンの両親を持ち、スウェーデンで生まれ育ったホセ・ゴンザレス。キューバのシンガーソングライター、シルヴィオ・ロドリゲスを始め、ビートルズ、ボブ・マーリーやマイケル・ジャクソンといった音楽に影響を受けながらも、おおよそ多くの少年が通過するであろう、ハードコアやパンクロックバンドでギターを演奏するようになるのですが、2003年にリリースされた彼自身のデビューEP「Crosses」では、これまでの活動から一転、絶妙なナイロン弦のギターワークと、自身の親密なボーカルだけの、シンプルなスタイルになっていて、以降、繊細かつ多彩なアルバムを数多く世に送り出し続け、その魅力は、例えば、ニック・ドレイクにも通じるものがある、
今回紹介のアルバム『Local Valley』は、前作の「Vestiges & Claws」から6年ぶりにリリースされたもので、デビューからのラテンアメリカやアフリカからの影響を受けた、クラシックなフォークシンガーソングライターな独特のスタイルは変わらず、よりピースフルな心地よさを運んでくれる。実際、変わりがないというのも進歩がない風に捉えられるかもしれないけど、デビューから20年近く立つスタイルが時代の変化にも風化しないというのも改めて凄いことだなと思う。彼の音楽は、パッと聴きは、地味!って思っちゃって、これのどこか支持されるんだろう?なんて最初は思うんだけど、これがなかなかじわじわと癖になるんですよね。
個人的に印象に残ったのが、”Visions “という曲の最後に、”we are in this together “と歌われていて、2021年は、奇妙で困難な年でしたが、このフレーズがなんだか今の重苦しさにそっと手を差し伸べてくれるような気がする。「特定の国だけでなく人類全体、次の世代だけでなくその次の世代のための集合的未来を思い描くようにした」と、海外でのインタビューで述べていていたのを見たとき、今の時代に決して重苦しくなく、美しいと同時に痛烈で、心を揺さぶるが決して圧倒されることのない、彼独特のメッセージが込められている作品なんだな、と改めて胸に落ちるものがあった。
ジャケットは、彼の長年のパートナーでもある、スウェーデンのデザイナーHannele Fernströmによるものです。箕面の山にはジャケットの描かれている象はいませんが、お猿は有名ですよね。
A1. El Invento
A2. Visions
A3. The Void
A4. Horizons
A5. Head On
A6. Valle Local
B1. Lasso In
B2. Lilla G
B3. Swing
B4. Tjomme
B5. Line Of Fire
B6. En Stund På Jorden
B7. Honey Honey