machinone「Tokyo」~「何気ない」という言葉を、繊細な音で奏でたら…。

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

 

“街の音”という名前を付けたひとりの音楽家のファースト作品が東京のflauよりリリースされる。タイトルは「tokyo」。様々な人々が行き交い、人それぞれの物語が生まれる場所、東京。machinoneは、東京の”西側”にある場所で6年程生活をし、その時々に感じた欠片を膨らませ、コツコツとこの作品に収録されている楽曲を録りためている。奈良にどっぷり生活していると地域的にぱっとイメージできにくいですが、聴こえてくる音楽はタイトルのイメージとは違った、牧歌的な佇まい。

感じるまま、つま弾くアコーステックギターと、フィールドレコーディング、そして録音時、偶然入りこんできた音など、簡潔な表現ながらも、machinoneにしか描けない、不器用な人が奏でる繊細なメロディーが、きっと寂寞した心を癒してくれるはずです。

日々街はめまぐるしく動き、変化し流れてゆく…それにしても、消えゆくもの、儚いものに何でこんなにも心を寄せてしまうんだろう?この作品を聴いていると、ふとそんなことを感じてしまう。machinoneの音楽は、饒舌さは微塵もないけれど、彼の音楽に耳を澄ましていると、彼の描く街の日常と幻想が入り混じった「儚いいとおしさ」がふわりとメロディーや音になり、優しく包み込む。

前述では、牧歌的な作品~と評したのですが、田舎の大自然というのが微妙にしっくりと来ない。もちろんタイトルがタイトルなんだけど、大都会!というのとも違って、もっと日々の暮らしの中の身近な生活圏で暮らす中に生まれる憂愁が、machinoneの奏でるギターから感じさせるからだろうか?朴訥としたメロディーがやがて、幻想的な非日常を生み出してゆく…。

またこの作品には、Danny Norbury、Federico Durand、そして津田貴司という素敵なゲストが参加していて、より一層この作品を聴いた人の心を満たしてくれている。いずれもご存じの方が多い音楽家ですが、Danny Norburyは、マンチェスター在住のチェロ奏者で、The Boatsでは第3のメンバーとして来日もしていましたね。ここでは、4曲目”siksy”と19曲目”juha”に参加、牧歌的な楽曲を引き立てています。Federico Durandは、「公園喫茶」でも取り上げている、アルゼンチンの電子音楽家。5、10、11、12曲目に参加していて、ギターの背景に、それとわかる詩情豊かなアンビエントサウンドやを聴くことができます。そして最後に、この作品をきっちりと作品として完成させることにおそらくかなり貢献したであろう、hofliや、スティルライフでも活動中の津田貴司。ゲストの中では最多9曲でサポートしています。

「何気ない」という言葉を、繊細な音で奏でたら…というような、心情に感じさせる音楽を聴かせてくれるmachinoneの「Tokyo」です。

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■ アーティスト:machinone
■ タイトル:Tokyo
■ フォーマット:CD
■ レーベル:flau
■ 品番:FLAU43
■ ジャンル:フォーク/アンビエント
■ リリース年:2014年

<収録曲>
01 bell guitar
02 ruoho
03 tokyo
04 siksy
05 harutsugedori
06 driftwood
07 flower stamp
08 windwijzer
09 haimidori
10 michiyuki
11 vihrea
12 swallow song
13 giddy
14 tears of kivi
15 tegami
16 miston
17 gossamer
18 aerosol
19 juha

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2014年08月03日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: , , , , Comments Closed 

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