Rachel Grimes Japan Tour 2014~レイチェルズの楽曲も披露!澄み渡った美しさで満たしてくれる、ソロピアノ公演
text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)
Rachel Grimesが10月に日本に来日することになった。個人的にもとても大好きなアーティストなんですが、来日の話を聞いた時は、”何で今なの?”なんてイベント主催者に思わず言ってしまった。
米ルイヴィルのポストロック・バンド、レイチェルズのピアノの人で、2009年にポストクラシカル作品の中でも、もっと評価されてもいい作品「Book of Leaves」を発表しながらも、知る人ぞ知る的な、ちょっと残念な状態で、彼女の作品/存在自体が、本来、聴かれるべき人たちのもとに届いていないような…そんなことを、作品が出た当時、お店を運営しながら思っていたことがありました。
僕は、レイチェルズ大好きで、そもそもポストロックという言葉も新鮮に感じる頃、レイチェルズは、ジェイソンノーブル、クリスチャンフレデリクソン、そしてレイチェル・グライムスの3人を中心としたグループで、ゴッドスピードユーブラックエンペラーやシガーロスなど、ポストロックから派生したジャンルの源流に位置するグループだったと思うし、まちがいなく現在のポストクラシカルのアーティストにも多くの影響を与えているはずだし、もしレイチェルズを知らないという音楽家はぜひレイチェルズの作品を聴いてほしい。たとえば現在活躍しているNils Frahm、Dustin O’Halloranの作品に馴染みのある方が、レイチェルズの6枚目の作品「システムズ/レイヤーズ」を今、聴いたとしたら、何ら時代の違和感なく聴けてしまうことに、新鮮な驚きを感じることでしょう。
残念ながら、日本でもようやくポストクラシカルのアーティストが徐々に人気が出てきているにも関わらず、レイチェル・グライムス自身の作品は、これまで、前述の「Book of Leaves」と、2011年にウォーレス·ケリー監督のサイレント映画”Our Day”に音楽を付けた作品「Marion County 1938」だけなので(実のところ、数多くのドラマ・映画、それからKing’s Daughters & Sons、Astrïdのメンバーとして活動はしていたようですが)、日本においては、あまり注目されることもなかったのも仕方のないことかもしれない。だからこそ、今回の来日をきっかけに、彼女のピアノにじっくりと耳を傾けて頂きたいと願わずにはいられません。
「Book of Leaves」は、2本のマイクのみを使用したシンプルなレコーディングによる、ピアノとフィールドレコーディングのみで作られた作品なんですが、静寂さをそのまま封じ込めたかのようなジャケットの写真そのままの、本当に息をのむほど美しいピアノ作で、今回の来日では、この作品を含めた自身の楽曲を中心に、なんとレイチェルズの楽曲も披露してくれるそうです。
見過ごされたままだった事実を、ぜひ各会場で確かめに行ってみてください。
イベント情報
| Rachel Grimes Japan Tour 2014
現在興隆を極めるポスト・クラシカルのはしりともいえるルイヴィルの室内楽/ポストロック・バンドRachel’sの中心メンバーRachel Grimesが初来日、自身のソロアルバム、Rachel’sのレパートリーを含めたソロピアノ公演を開催します。イベント詳細:
http://www.flau.jp/events/rachelgrimes2014.html来日日程:
2014年10月11日(土)東京
@ 根津教会(文京区根津1-19)
open/start 16:30/ 17:00
adv./door 3,500 / 4,000yen
出演:Rachel Grimes
SHOP:Linus Records
PA:福岡功訓 (Fly sound)
チケット予約ページ:flau shop
メール予約・お問い合わせ:event(at)flau.jp
※(at)を@に変えて送信して下さい2014年10月12日(日)福岡
@ 日時計の丘
出演:Rachel Grimes
※福岡公演は、詳細がまだの為、決まり次第flauのイベント情報ページに公開されますのでもうしばらくお待ちください。協力:p*dis
Rachel Grimes(レイチェル・グライムス):
「アメリカのインディペンディエント・ミュージックにおいて数少ない真に天性の才能を持ったアーティスト」(WIRE誌)、「100 Composers under 40」(NPR)の一人に選ばれるなど、国内外より高い評価を受けるアメリカ・ケンタッキー在住の女性ピアニスト・作曲家。画期的な室内アンサンブル/ポ ストロックバンドThe Rache’lsの中心メンバーとして知られ、バンドは90年代後期より「Music for Egon Schiele」「Systems/Layers」(Quatersick/Touch and Go)など数多くの名作をリリース、現在のポスト・クラシカルの源流の一つとして後世のアーティストに多大な影響を与えている。2009年に初のソロアルバムとなる『Book Of Leaves』を発表。ピアノとフィールドレコーディングのみで、まるで絵画のような静謐な美しさを表現した本作は、大きな賛辞を受け、アメリカ、ヨー ロッパ各国をツアー、PJ Harvey、Nina NastasiaやNils Frahm、Dustin O’Halloran、Matmosらと共演、Shellacがキュレーターを務めたAll Tomorrow’s Partiesやスティーブ・ライヒ、ジョン・ケイル、Johny Greenwood(レディオヘッド)らが出演したBig Ears Fesvitalなど、数多くの音楽フェスティバルにも出演した。Rachel Grimesの楽曲はその音楽性の高さから様々な媒体に使用されており、マイケル・マンが製作総指揮を務めた『Witness』や『ガスランド』 『LAST DAYS HERE』『グレート・ビューティー/追憶のローマ』など数多くのドラマ・映画や、国立歩兵美術館、ニューヨーク歴史教会、世界宗教博物館などのマルチメ ディア・インスタレーションで彼女の音楽を聴くことができる。コラボレーションとして、自身がメンバーとなっているKing’s Daughters & Sons(Checmikal Underground)やRune GrammofonのAstrïd、アムステルダム・シンフォニエッタ、カンディンスキ管弦楽団らとの共作。日本でも人気を集めるTara Jane O’Neil、Shannon Wright、Machinefabriekら様々なアーティストのアルバムにも客演し、アーティスト/リスナー問わず高い人気を獲得している。