西森千明 演奏会〜かけがえのないなかで
text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)
いつか実現したらいいのにな…と思っていた演奏会。西森さんから連絡が来た時、なんだか春の訪れのような心持ちになった。「かけがえのない」は2014年の数少ないpastel recordsでのベストセラーとなりました。それも当然かなと思うまでもなく、素晴らしい作品です。
人は誰しも、心に宿る魂を持っていて、そこに耳を澄ませてみると過去も未来も教えてくれる…たしかアイスランドのキラキラというアーティストがライヴのMCで言ってたような…。正直、自分い問いかけることではっきりと見えてくるものはまだないのですが、西森さんの「かけがえのない」を聴いていると、色々なつかしい思い出が湧いてくる、と同時に、こころがまた一つリセットされたかのような、真っ白な気持ちとともに、むくむくっと希望がこみ上げてくる。過去があって未来がある。当たり前だけど、改めてそんな言葉を作品を通じてかみしめることができる。私にとっても多年模索していている中で出会った親近な作品の一つが「かけがえのない」なのです。
いろんな偶然と必然が交差しあい、それが彼女の普遍的なメロディーと混じり合うことで「かけがえのない」はこれまでの西森作品にはない、佇まいがある。その要因の一つに録音された環境が大きく影響しているのは間違いない。この作品が録音された場所は、京都府南山城村にある、旧田山小学校という廃校となった場所で録音されている。私のインタビューでも話してくれているように、「”自然豊かな場所にある学校”で録音したい」という西森さんの希望でたどり着いた旧田山小学校は、まさに「かけがえのない」を生み出すにふさわしい場所だったのです。
WATER WATER CAMEL 田辺玄を録音・ミックス・マスタリングにむかえ、通常のスタジオ録音では生み出すことができない録音場所の”かけがえのない”ひと時が、彼女の歌、ピアノとともに等しく収録されている。それは、床のきしみ、窓が風に揺れる音、隣の教室にいる誰かの気配、窓の外に広がる樹々の葉擦れの音、飛び回る鳥たちの鳴く声、風の吹く音などなど…。
そういえば最近の西森さんとのメールでのやり取りで彼女がこんなことを伝えてくれてます。
どんな場所で演奏するにしても、自分がどれだけ周りと響けるか、そこに集中すると、自然と、内にも外にも広がっていくような感覚になる、といいますか・・・そんなふうにして音楽を奏でるのを楽しんでいる私です。
この感覚を知ると、ごく日常的な身の回りのこと、当たり前のようなことや、さりげない、ささいなできごとや風景だって、奇跡で、五感や喜怒哀楽の感情が、
いきいきと膨らむような心地になります。 録音した、旧田山小学校の教室は懐かしさの感じられる場所ですし、居るだけで、
それぞれの人に色々な感情が湧き起こるかもしれません。そんなみなさんの間を漂う風のように音を奏でられたら、 と思います。 周囲を広々感じられたり、自分の感覚に心を澄ませたり。そんな時間をみんな過ごせることができたら、素敵だな、嬉しいな、と思っています。
4月12日、西森さん、そして田辺さんが録音をした思い出の、旧田山小学校に再び戻り、会場に来た人全ての人が、「かけがえのない」の世界を、それぞれの心で感じていただける…なんて素敵なことだろうと思う。多くの人がこの場所にたどり着くのは大変かもしれないけど、西森さんの音楽を通じて、偶然と幸運が調和した瞬間、きっとこの場所でないとうまれない、ゆるやかなひとときが、きっと参加した人それぞれにとって特別なものになることでしょう。
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