Hummingbird「Glade」〜美しい音像が織りなす瞑想的なクラシカルドローン作。

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

超限定ハンドクラフトのパッケージが毎回素敵な、UKはブリストルのレーベル、Fluid Audioより、Hummingbirdのセカンド作「Glade」がリリースされました。毎度のことですが、パッケージ版はすでに完売、現在はFluid Audioのサブレーベル、Factureで、配信のみのリリースとなっています。

Fluid Audioは、日本では、パッケージ版の流通がまずないので、広く知られているわけではないのですが、音楽家を始め、知ってる人同士の間ではかなり有名だったりしたりします。主宰のDan Crossleyによる、確かな審美眼によってこれまでリリースされた、アンビエント、モダンクラシカル、エクスペリメンタル、アコーステック、フォークな作品群は、どれも一筋縄ではいかない魅力を持った作品ばかり。そんな中、Fluid Audioの初期リリース時からラインナップに入っていたのが、今回久しぶりのリリースとなった、Hummingbird。

Hummingbirdについては、アーティストの詳細は一切明かさないという、覆面的プロジェクト。2010年に、「Our Fearful Symmetry」を100枚限定でリリース。ストリングとピアノによって生み出される、深い残響のループが美しく、モダンクラシカルの中でもアンビエントの要素が強い作品でしたが、翌年の2011年には、「Our Fearful Symmetry Remixes」という「Our Fearful Symmetry」を一旦解体したような、よりアンビエントな作品に仕立て直しています。これ以降は特にリリースされることはなかったのですが、今年、2016年に、久々のリリースとなる作品「Glade」がリリースされました。

「Glade」は、「Our Fearful Symmetry」の延長線上の、より電子音の比重が多くなったエクスペリメンタル寄りのアンビエント作という印象で、Thrill Jockeyからリリースしている、Mountainsの諸作を彷彿とさせます。特にクレジットらしいものはないのであくまで推測ですが、エレクトロニクス、シンセサイザーやエフェクトなどを用いたドローンや、ギターやピアノ、ストリングスなどのフィジカルな演奏で奏でる旋律的なラインが、シームレスに結びつき合いながら、時に瞑想的で、時に雄大なサウンドスケープを生み出し、これまでの作品よりも、より豊かで深みのある音像の広がりを感じさせるものとなっています。

Tracklist
1. Himalayah
2. A Study of the Views
3. Six Points of Tabligh
4. Three Empires
5. Yellow River
6. Tawatur
7. Black Tongue
8. Sunrawardiya
9. Nuqaba
10. Opiate of the People
11. Tanzor
12. Lesson Nine
13. Fragment of a Discourse
14. Weird Folk

2016年04月23日 | Posted in 音楽レビュー | | Comments Closed 

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