Richard Ginns「A Beautiful Memory Shaped In The Stars」〜時間と空間を旅する景色のような淡く懐かしいサウンドスケープ
text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)
マンチェスター在住のサウンドアーティスト、Richard Ginns。昨年、フランスの、eilean rec.よりリリースされた「Until The Morning Comes」に続く作品「A Beautiful Memory Shaped In The Stars」が、ベルギーのカセット専門レーベル、dauwよりリリースされました。
dauwは、過去に、日本でもよく知られる、Federico Durandや、Machinefabriek、またHome NormalからもリリースしているCass.などリリースしているドローン〜アンビエントな音楽がメインのレーベルで、アナログなカセットテープとハンドメイドなパッケージの組み合わせも相まって、各タイトル、おおよそ100未満の販売数はいつも完売と、静かに人気のレーベルです。
この「A Beautiful Memory Shaped In The Stars」はタイトルが表すようにロマンチックでぬくもりある、これまでのRichard Ginnsの作品が好きな人ならまず手に入れて欲しい素敵なドローン作品となっています。膝の上で演奏するラップハープ、ギター、シンセサイザー、ピアノ、テープループ、カリンバ、チャイムバーなどなど様々な楽器やマイク、カセットレコーダーなどを用いアナログ的な手法で録音し加工しながら、密やかで繊細な美しさと、ザラついた独特な浮遊感を持つ、ゆらぎのサウンドスケープからは、洗練されたデジタルな質感にはない、人の潜在的に潜んいる、時間と空間を旅する景色を見ているような淡く懐かしい感覚にさせてくれる。それが本当に心地よいものなのです。
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