Agostina Elzegbe「La Vida」:まるで小さな宝石のような作品

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正直アルゼンチンの音楽を頻繁にチェックし始めたのは、ここ数年という具合いなので、何年か前の作品でも何で今までこの作品を知らなかったんだー!って思うことが多い。

今回紹介するAgostina Elzegbe(アゴスティナ・エルセグベ)もそんな中の一人なんですが、やっぱり素晴らしいな~と思うアーティストは、国や文化を問わず、まだまだ居るもんなんですよね。ともかく彼女に出会えたことに感謝。

Agostina Elzegbe(アゴスティナ・エルセグベ)は、ブエノス・アイレス出身の女性シンガーで、「La Vida」は彼女のファースト作です。この作品は2012年末の作品なんですよね。つくづくリアルタイムで紹介できなかったのが、個人的に悔やまれるところです。

作品はほぼ、歌と、ギターの弾き語りです。彼女の歌声は、ラテン方面のシンガーにある、土着的な要素があまりなく、中南米音楽のファンには評価の分かれるところではあるんですが、個人的には、ジャンルを問わず、英米フォークミュージックの感覚で聴くことができる、清涼感と親しみやすさのある歌い手さんではないかと思います。

声は、キュートさと落ち着き具合が程良く折り合っていて、聴いていると本当に癒されます。そして乾いたガットギターの音色が、小気味良いリズムで、詩情豊かに弾かれ、シンプルな中にも確かなテクニックとセンスを垣間見せてくれます。インストナンバーも逸品で、María Clara Millánとの演奏では、避暑地で優雅に聴いてみたいなぁ~と思ってしまうくらいの、爽やかなアンサンブル。

最後は、ウルグアイの巨匠でコメディアンや文学者としても活躍するSSW、Leo Masliah(レオ・マスリア)がピアノと歌で、ブエノスアイレスで活動するベーシストQuique Ferrariがダブル・ベースで参加。淡々とした中にも、ジャジーなピアノと、ボッサな部分とが実に良い塩梅で、レオ・マスリアの、しゃがれつぶやきボーカルと、アゴスティナのキュートで伸びやかな歌声とのコントラストが、ラストにふさわしい優しさに満ちた暖かな空気を残してくれます。

まるで小さな宝石のような作品。ぜひまだの方は聴いてみてくださいね。

<Track List>
1. Sola
2. Linda luna lunea
3. Pequeñas piezas de espera
4. Drume negrita
5. Me quiero contigo
6. Cambio
7. Nocturnos I
8. Vínculos
9. Felicidad para Bernarda
10. Yo quisiera ser una palmera

2014年03月08日 | Posted in 音楽レビュー | | Comments Closed 

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