「continuous music(連続音楽/持続奏法)」という独自のピアノ奏法を駆使した作曲を長年追求している、ウクライナのピアニストLubomyr Melnyk(ルボミール・メルニク)。話題になった「Corollaries」につづく最新作が、Erased Tapesからリリースされました。
Lubomyr Melnykについては、正直Erased Tapesから2013年にリリースされた「Corollaries」で知った方がほとんどではないでしょうか。彼についての記述はこちらのインタビューも含む記事がとても詳しいので是非ご覧になっていただきたいのですが、自身の信じる道を追い求め続ける中での苦労が伝わってきますが、それだからこそ、揺るぎない彼のピアノの演奏からは、真正面から取り組んだ正道を行くものに通じる、人の心を打つ光が差している。そんなところが時を経て、若手音楽家からの支持につながっているのだと思う。
テクニカルな技術が突出し生まれる、ミニマルな造形美。冒頭から2曲続けて10分以上にもわたる長尺な曲が続くのですが、幾重にも織り込まれるかのように続くルボミール・メルニクのピアノにあっという間に引き込まれてしまう。ミニマルに展開される連なりの中でも、変化に富んだ至難な技巧は、瞬間的な音のイメージを鍵盤上に展開し、Lubomyr Melnykの才気を遺憾なく示したものとなっています。卓絶した技術の一方、イマジネーションの豊かさも鮮やかに表現して見せている。特に韓国のフルート奏者Hyelim Kimが参加したラスト20分もの大曲”The Amazon”は圧巻です。