植物の美しさ、複雑さと交わる人の感情の多様性を映し出すドリーミーな作品
ドイツ人プロデューサー/マルチ奏者 David GeorgosのソロプロジェクトMemumのセカンドアルバムが、ドイツのUnperceived Recordsと、マレーシアのmu-nestより共同リリースされました。
Memumの音楽は、オーガニックでキラキラ輝くような生楽器トーンやメロディーを基調とした、ハンモックやシガーロスのような、ドリーミーなポストロック〜シューゲイズな要素のアンビエントに、今作をリリースしたmu-nestのリリース作品のようなメロディックなエレクトロニカが特徴。初期Bibioやスカンジナヴィアの音楽、また日本の伝統音楽にも影響を受けている。
ファースト作である前作「Became A Leaf」に続く、このセカンド作では、植物の美しさや複雑さと人間の感情の多様性の共通点にインスパイアされて制作されたという。前作にも参加しているErin Lang、Fairaに加え、Anna、Anne Garner、 Marjamäkiという4人の女性ヴォーカリストがゲスト参加。ファースト作では、ハーモニー程度に留まっていましたが、このセカンド作では、この4人による、歌や個性が堪能できるトラックが、作品にフェアリーなムードを与え、繊細さ、切なさが加わり、より魅力的なものとなっている。
もちろんそれ以外のトラックにしても、深遠なドローンと、美しいアコーステックなアッセンブリーが、前作以上に、いい意味での、オーガニックで、メロディーとエモーションが際立っており、ドリーミーなMemumの深い森のサウンドに心地よくリラックスできる。ただ唯一残念だったのが、Faira参加のトラック”komoriuta”かな。ここで日本語での歌唱が入ることで、ちょっと作品の夢見心地が半減してしまった。faira(sophia spies)は前作も参加しているドイツの才能ある女性アーティストで、リリース作品での彼女の伸びやかで、フリーフォームな歌唱に魅了された者としては、ここでのなんとも言葉とメロディーのバランスに窮した、いかにも海外のアーティストがボーナストラック用におまけで録音したような日本語での歌唱は、どうしてもfairaの魅力を活かしきれていない印象を持ってしまう。全く酷い、というトラックではないだけに、作品全体のバランスを考えるとここだけ、何で?という感じ。日本語にこだわる必要もないと思うんだけど、こだわるんだったら日本人の音楽家に作品の意向を伝えた上で歌詞も任せるべきだろうなぁ…いい内容だからこそ余計に気になっちゃう。まあケチつけるとしたらそれくらいだけど。
01. Aalto(feat. Erin Lang)
02. Petals
03. Radiance
04. Sumussa Valon Loiste
05. Clearing
06. Timedrift(feat. Anne Garner)
07. Confidence
08. Komoriuta(feat. Faira)
09. Illuminate(feat. Anna Marjamäki)
10. All We Grow
▼よく見るとジャケットの鳥の下の白いラインの部分が手作業で貼り付けられていて1点1点が微妙に違います。