Ryan Driver「Who’s Breathing?」(Fire Records)

味わい深い歌声に、良質なセンスがさらりと味わえるセカンド作

ライアン・ドライヴァーは、2010年前後からトロント・インディー・シーンにおいて、静かな潮流を生み出しているメンバー、サンドロ・ペリ、エリック・シュノー、ジェニファー・キャッスルとともに名を連ねる一人。

フォーク/ジャズ系インディー・シーンを代表するアーティストにして、即興音楽家/マルチ・インストゥルメンタリスト/シンガー・ソングライターとして多くの表情を見せるライアン・ドライヴァーですが、何が素晴らしいかといえばまず極上の”うた”を聴かせてくれること。この点は、前述したメンバーにも共通しているのですが、特に、ライアン・ドライヴァーは、人の心をとらえて離さないロマンティックで内省的かつ甘美なヴォーカル&メロディーがたまらなく良い!

彼はThe Ryan Driver Quartet名義でも活動しているのですが、のちに、アプレミディ・レコーズから日本盤リリースされスマッシュ・ヒットとなる、2014年の名作『プレイズ・スティーヴン・パーキンソン・ソングブック』でのチェット・ベイカーばりの歌唱も驚かされるのですが、彼の音楽の引き出しの多さの良さが出た、すごくいい形で幅広いリスナーにアピールした作品でした。ただ個人的には彼のフォーク/ジャズ系要素が、彼のユニークなセンスとともに、くまなく味わえる彼のセカンド作『Who’s Breathing?』(2011年作)断然おすすめいたします。

とりわけこのセカンド作のもつゆるやかな空気感に、チェット・ベイカーと、ボニープリンスビリーを折衷した甘美で中毒性を持つ、しみじみと味わい深い歌声が生み出すノスタルジックで美しいストレンジさが、も〜最高すぎ!フォーク、ジャズ、カントリー、ノスタルジックなポッスまで、多様なジャンルが行き交いますが、Ryan Driverちょっとカッコよすぎじゃないですかー?なんて、音楽家でもないのに嫉妬しちゃうくらいさらりとキメちゃってます。ちょっとファルセット気味に歌う”Tell Me True”なんて感動ものです。

Ryanはピアノとギター、シンセにフルート。他参加アーティストは、基本、ライアン・ドライヴァー・クインテットのメンバーが中心となっているのですが、歌同様、惚れ惚れする演奏で、1~2曲目のStew Crookesによるペダルスティールなんかは、もう癒されまくり!

 

01. Dead End Street
02. Am I Still Too Late?
03. Everything Must Spin
04. Tell Me True
05. Blue Skies Don’t Care
06. It’s Tulip Season
07. Don’t Want To Leave You Without You
08. Whether They Like It Or Not
09. When Now Turns To Never
10. On A Beautiful Night Like Tomorrow

 

 

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