水の上で交わるほのかなノスタルジーと緩やかなアンビエント
リリースを心待ちにする音楽家もここ最近随分減ってきた今日この頃ですが、いつも変わらず音楽家の良心を作品の中に込めてコンスタントに届けてくれる数少ない音楽家の一人、米デトロイトのアーティスト/グラフィック・デザイナー、Michael Cottoneによるソロ・プロジェクトThe Green Kingdomの最新作『Harbor』がロシアのアンビエント・レーベル、DRONARIVMよりリリースされました。
今年2016年の7月に、前作「Expanses」でも露わになっていたミニマルなテクノ~ダブをより本格的に推し進めたプロジェクト、Dustcraftをスタート。アルバム「Exoterra」をスペインのレーベル、ARCHIVESよりリリースしているのですが、このミニマルなテクノ~ダブは、最新作「Harbor」でもより重要な要素として引き継がれています。また、それ以上に変化を感じたのが、Manual、hammmock、Cocteau Twinsやそのギタリスト、Robin Guthrieの作品を思わせる、シューゲイザーとアンビエントの中間を行き来するような、美しく水が流れるようなギターサウンド。透明感あるメロディアスな残響がとても穏やかで、ギターのほか、ストリングス、デジタルノイズなど、これまでのサウンドソースにはあまり変化はないのですが、着実に自身のサウンドパレットの懐が深くなっていて、詩情豊かな表現とともに”水の上に浮かんでいる感覚”が何度聴いても心落ち着きます。
Ghost And TapeやPurl(リリース先のEternellレーベルも要チェック!)などのジャケット写真を手がける、Brian Youngによるアートワークの写真がまた素晴らしく、曇った山々と揺さぶるような波があり、すべてが単色の青色で洗い流されるように2つの風景が溶け合っている。The Green Kingdomのサウンドとまさに”パーフェクト”に結びついた、ほのかなノスタルジーと緩やかなリズムが静かに漂う素敵な作品です。
Tracklist
01. Inlet
02. Harbor
03. Haze Layers
04. Faun (enchantedforestmix)
05. Jade Star
06. Thermals
07. Morrowloops
08. Evergreen Sunset
09. Endless Blue Drift